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ikenishiブログ

のびのび・ほかほか...ストレッチ・ダウンの魅力

機能と創造のセッション

のびのび・ほかほか…?
なんだか通販の陳腐なコマーシャルみたいだが、そうではない。ハイテクが実現した最先端のお洒落なファッションの話である。写真のダウンジャケットがオリジナルの試作品だが、一見すると普通のダウンジャケット、実は着る人の動きに応じて伸び縮みするストレッチ・ダウンジャケットだ。
表側・中側の生地は薄地織物に見えるが、非常に目の詰んだ薄地ニットなのでストレッチ性がある。伸縮性があるのは表面だけではない。ダウンを内蔵する袋状のダウンパックはフィルム・シートとニット・チュールの二重構造で、どちらも伸縮性がある。特殊な多孔構造を持つフィルムは通気性を持ち、快適な衣服内環境を保つ。ニット・チュールも当然ながら通気性を持ち、ダウンのズレ落ちを防ぐ。表側・中側からダウンをはさむ極薄素材の6層構造が、軽くて暖かいダウンジャケットの条件を満たしつつ、身体の動きと親密に寄り添って自由な快適性を実現する。これは機能性だけでなく、同時にデザインの可能性を広げることをも意味する。ストレッチ性を想定すればダウンジャケットをより自由にデザインできる。スリムなシルエットやディテールにも遊びのあるデザインを展開できるのだ。そのためには服作りに不可欠な付属品も重要である。今回のオリジナル試作では、ファスナーにも新開発のストレッチ・ファスナーを使った。テープ部分だけでなく閉じる役目をする肝心の「歯」の部分も、テープに同調して伸縮する画期的なファスナーである。丸ごと伸び縮みするアイデアは、アウターウェアだけでなく軽快なトップスやボトムにも対応できる。また今後は衣服だけでなく、他のジャンルにも展開できるだろう。
私は10年以上前からJFK(Japan Fabric Knowledge)プロジェクトを通して、優れた日本素材をヨーロッパのデザイナーブランドに毎シーズン紹介しているが、昨年は定例の日本素材プレゼンテーションの際にストレッチ・ダウンジャケットも紹介した。ストレッチ・ダウンジャケットの魅力は実際に着てみないとわからないので、男女を問わずプレゼン相手に試着を勧めた。私自身、最初に着てみた時に本当に驚いた経験を持つからだ。1サイズ、いや2サイズは小さなジャケットを試着したのだが、身幅が狭く袖丈もつんつるてんなのに肩や腕が自由に動かせて感動したのだ。案の定、最初は躊躇した大柄の外国人デザイナー達も、試着してみて一様に目を見開いた。その結果、生地やファスナーの問い合わせやサンプル依頼が続出。今年の秋冬シーズン、ヨーロッパのデザイナーブランドの店頭でどんなデザインのストレッチ・ダウンジャケットを見られるのだろう。もはや「のびのび・ほかほか」だけでなく、「いきいき・わくわく」のファッションになるだろう。楽しみだ!

 

 

 

2010.02.02