しばらく日本よりも暖かかったパリも再び厳しい寒さがぶり返し、氷点下で雪が降り続くなか、2月9日から12日までの4日間、プルミエール・ヴィジョン2011年春夏展が開催され、早くも来春夏向けのテキスタイル・ビジネスが本格的にスタートした。
プルミエール・ヴィジョン展は世界のファッション業界で最も注目されるテキスタイル見本市である。その所以は、各社のブースで繰り広げられる商談のみならず、会場で様々に発信されるトレンドが、1年先のファッション傾向を予測する上で重要視されているからである。欧州を中心に645社のテキスタイルメーカーが出展しているが、日本からも24社が出展している。
しかし長引く不景気のなか、来場者は昨年同期よりも増えたというものの、会場には以前ほどの活気は戻っていない。加えて連日降り続く雪のなかでの開催で、気分も冷え込んで会場に入った人が多かった。薄く雪に覆われたエントランスに誘われて会場に入ると、確かにそこは白い世界だった。気分が白けたのではない。会場内の各社ブースの壁面から什器まで、すべてが白いマテリアルでまとめられた「ホワイトシティ」へとデザインが一新されていたのだ。白いマテリアルにはデュポンのコーリアンという新素材を採用し、乳白色を別注したそうだ。光を優しく透過するこの素材は、今までの木目を基調とする重厚な雰囲気を、ライト&ライト(明るさと軽さ)なオープンな空間にリフレッシュした。抑圧された閉塞感から開放されて気分が良かった。
このホワイトシティに映えたのが、今回のプルミエール・ヴィジョンのオリジナル・トレンドカラーだ。この数年の傾向を引き継いでカラフルだが、蛍光色まで登場した昨年までとは異なり、透明感のある爽やかなカラフルさに推移した。それらを引き立てるベースカラーも、爽やかなホワイトと透明感のある深いブルー。プルミエール・ヴィジョンでは毎日、出展メーカーのブースでバイヤーに人気のあった色や素材がアンケート調査され、翌日には“THE BESTS”として発表されるが、会期を通してのベストカラーは、透明感のあるインクのようなダークブルーとシリコンのようなホワイト。これに続いたのがライト&ライトなカラフル色。
ファッションは世相を反映する、しかしカラーは逆反映し、その時代に生きる人々の、未来への変化の願望や希望を反映する。21世紀の最初の10年間が過ぎようとしている今、新しいノートの白いページを開くように、世紀末ムードが払拭され本当の意味での新世紀が始まることへの期待感の表れである。
2010.02.22


